#66 Je t'aime

#66 Je t'aime

自分の愛せるものを持つ。それはこれからの時間をより愛おしく感じるための、大人の嗜みだと考えます。今季もそうした出会いとなれると思うジュエリーをお作りしてきましたが、今回のJOURNALでは、私たちが創業して初めて作り、今も定番として残り続けている唯一のシリーズ〈Je t'aime〉について、少しお話していこうと思います。

〈Je t'aime〉はK18ゴールドだけで作られています。職人の手元で柔らかに形を変えるゴールドの姿を見たことがきっかけでした。水の流れのように伸びやかで、柔らかな質感。手探りで始めたジュエリー探求でしたが、その自然物のような美しさは大切な出会いでした。磨きあげることで艶が出たり、傷がついて表情に深みが増す。時間をかけて表情を変えていく姿も、抱いていた"ジュエリー像"を払拭するものでした。私たちは、自分たちのジュエリーをゴールドだけのものから始めることに、とても意義があると感じました。

もちろん、近代のラグジュアリーなジュエリーもとても美しいと思っています。しかし、それ以上に私たちには古来より脈々と受け継がれてきた日本人ならではの感受性というものがあります。受け入れて、調和する。私たちは様々な事象に対して、そうした視点で見ています。装身具であるジュエリーも、きっとそうした私たちに馴染み、調和する形があります。〈Je t'aime〉から始まったmederuのジュエリー。今は真珠や白蝶貝、水晶など他の素材も手がけていますが、全て同じ。自身に馴染み、引き出す、奥ゆかしいジュエリーです。

創業時に書いた「ながく愛せる、上質なものを」の言葉を、今も忘れません。人の手仕事が生み出す嘘の無さ、自然が生み出す奥ゆかしさ。〈Je t'aime〉から始まった「懐かしくて、美しい物作り」を、これからも続けていきたいと思っています。今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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弘 大石