#64 Rose cut - Nude & Rosier -

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#64 Rose cut - Nude & Rosier -

持ち主と共に長い時を重ねる"愛用品"を目指す、mederuの物作り。その取り組みは、時代を遡った手仕事を軸としています。なかでも、ここ近年探求を深めているのが、ダイヤモンドにおけるかつての時代のカットスタイルです。今回は、オールドカットの代表である「ローズカット」とその魅力について、2つのシリーズを介してお伝えします。

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征服されざる者(adamas)"を語源とするダイヤは、その硬さゆえ長らくカットが難しいとされてきました。14世紀頃のダイヤモンドカッター(ダイヤをカットする専門の職人)は原石の大きさを保ったまま綺麗に整え、カットより透明感を出すことを使命としていました。
15世紀に入るとダイヤが強く輝く石だということが分かり始め、以降のカッターたちは反射と屈折を計算した細かなカットを施していきます。その過程で「ローズカット」は生まれました。そして17世紀には夜会の蝋燭に映える美しさを求めてローズカットの需要も増え、ダイヤのカッティングはさらなる輝きを求めて変化していきます。

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蝋燭の頃よりも遥かに照度の高い環境だからでしょうか。今日の私たちから見ると、ローズカットにも十分に「透明さ」を感じられます。その気付きから〈Nude〉シリーズではダイヤに穴をあけて素通ししたり、細い枠を巻き留めたりして、ダイヤの存在感をごく軽やかに仕立てています。

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ローズカットの透明感はダイヤの煌びやかで重厚なイメージまで変えてしまうほど、ふだん使いに馴染みの良いものです。また当時のローズカットを使ったものは、石の下に箔を貼った"フォイルバック"と呼ばれる方法で覆い留め、ダイヤの反射光を引き出していました。〈Rosier〉シリーズはその方法に倣い、私たちなりの解釈で質感を再現したものです。 実際に箔は入っていませんが、コーティングを施さず暖色がかったホワイトゴールドが、ダイヤの裏側から温かな光を浮き上がらせています。

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ダイヤながら、どこか優しく奥床しい佇まいを感じさせてくれるものに。裏側を透かすよりも強い輝きではありますが、光が溜まって潤んでいるような質感が生まれます。

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ローズカットの魅力は活かし方によって趣を異にする、奥の深いもの。しかしどちらにも、静けさや控えめなイメージは共通するものだと思います。その煌めきは、不思議と日本人の心の琴線に触れるような気がしてなりません。そんなローズカットの持つ独特の美しさに心惹かれたら、ダイヤのカットに注目してみてください。

megumi kudo